気管支軟化症の犬における臨床病理学的特徴,合併症,そして肺高血圧症の発生率

Gamracy J, Wiggen K, Vientos-Plotts A, et al. Clinicopathologic features, comorbid diseases, and prevalence of pulmonary hypertension in dogs with bronchomalacia. J Vet Intern Med. 2022 ; 36 : 417–428.

 

背景

気管支軟化症(BM)の臨床病理学的特徴の報告は,一貫性のない定義と循環器・呼吸器疾患が頻繁に併発することから,多岐にわたっている。BMに続発した肺高血圧症(PH)に関してはめったに言及されない。

 

目的

BMの犬は体型に関係なく高齢で,そして呼気努力の増加,1つ以上の合併症をもつであろう,そしてBMのない犬と比較してPHがより認められるであろう。

 

動物

呼吸器徴候について評価された飼育されている犬(n=210)

 

方法

2016年1月~2019年12月の間に,吸気・呼気の両方で呼吸を止めたCT,気管支鏡,もしくは両方を行った犬の医療記録を回顧的に調査した。BMの犬とBMでない犬の比較は,マン・ホイットニーの順位和検定またはχ^2検定で行われた(P<0.05で有意差ありとした)。変数の数が多かったため,単変量解析(p<0.005で有意差あり)により高い有病率(>25%)の基準が認められた(n=10)。(←?)有意な変数が,多変量解析に用いられた。

 

結果

気管支軟化症はすべての大きさ/体型の犬の41%;38%は10 kg以上で認められた。BMのすべての犬は1つ以上の循環器・呼吸器疾患を合併していた。BMの犬は有意に高齢であり(P<0.001),小さく(P<0.001),そして気管または主気管支の虚脱(P<0.001)もしくは気管支拡張症(P<0.001)が診断された。多変量解析は年齢,気管または主気管支の虚脱,そして気管支拡張症に関連して行われた。BMの犬では,PHはより認められた。

 

結論と臨床的重要性

高齢,小さい犬で有意に認められるけれども,BMはすべての大きさの犬,そして合併症をもつすべての症例で発症する。心エコー図検査は,BMが考慮される犬に対し,PHの有無を調べるために,行われるべきである。